企業インタビュー企画 vol.1 ChatWork株式会社 CEO山本さん COO山口さん

2016/02/10

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「まずは、ChatWorkの存在意義や、社会に還元していきたい価値を教えてください」

山本さん「基本的なスタンスとして私たちが目指しているのは、経営理念の”Make Happiness”です。この経営理念を今から12年前ほどに考えた始めたときに、まずは自分の理念をしっかりと固めることから始めました。

経営理念が絵に描いた餅になってしまってはいけないので、まずは経営者自身が、自分自身の理念は何なのかということをしっかり考えないといけないですよね。 考えた結果、自分の理念は、”周りの人を幸せにするために、自分が積極的に行動するということ”なのだという結論になりました。

周りの人を幸せにするために、まずは自分自身が幸せになること、そしてその身近にいる家族、友人、社員・・・地域、日本、世界に幸せの輪を広げていきたい、と思ったんです。それがChatWorkの経営理念の”Make Happiness”です。

では”幸せ”とは何か。 私たちが考える”幸せ”というのは、心の豊かさであり、心の豊かさは、3つの構成要素で成り立っていると思います。 それは、”経済的豊かさ”、”時間的ゆとり”、そして”人間関係”です。私たちはこの3つを満たすような事業しかしないと決めています。社内にも社外に対しても、経営理念のMake Happinessを実現していく、そういう会社であり、組織であることを意識してきています」

「その幸せを否定する経営者はいないと思いますが、逆に3つの要素のどこを重要視するか、そこに悩まれる経営者の方も多いと思っています。バランスが大事であり、難しい。
ただChatWorkさんを見てると、その3つのバランスがものすごくよく感じます」

山口さん「経済的豊かさはどの経営者も追い求めるものなのですよね。
ChatWorkは特に時間的なゆとり、人間関係の部分も大事にしている点で、取材などでもよくフィーチャーされます。チャットワークは、時間の短縮や効率性が高まるサービスですから、つまり時間的なゆとりが生まれる。

時間的なゆとりが生まれると、人は心にゆとりがうまれる。心にゆとりが生まれると、周りの人に”何かあった?どうしたん?”が言える、これが人間関係の豊かさにもつながるということだと思います」

「周りの人を幸せにしていくために、自分がまず幸せになることが大事だということですよね。
自分に余裕があれば、人にも余裕をもって接せられる。その結果、最終的にビジネスもうまくいく、という循環ですね」

山本さん「チャットワークを提供する前も、良いと思うITサービスをセレクトして売っていた時代がありました。自社のサービスではなくセレクトショップ的な形で、良いと思うものを組み合わせて、効率化の提案をしていたんですね。ただ、そういったサービスを効率化のために提供していても、いくつか問題がありました。

中小企業のお客様も沢山いる中で、サービスが有料からしか始められないことで導入のハードルが高かったり、ITリテラシーが低くとっつきづらいと感じたり、そもそも導入しようとしても使い方がわからない、といった問題です。

チャットワークを作るときには、そういう問題はすべてクリアにしたかった。ITとは全く関係がない、例えば昔からの農家みたいなところでも、チャットワークだったら使えます、しかも無料で、というサービスにしたかった。仕事でメールさえ使っている人であれば、だれでも使えるサービスにしたいと思っていました」

「そもそもチャットをビジネスに使うようになったきっかけは、何があったんでしょうか」

山本さん「そもそも2000年に起業したときから、チャットを使っていました。クライアントとの連絡以外はすべてチャットで仕事をしていて、10年以上前から、なぜこれを仕事で使わないのかと思っていたのできっかけは随分と前からですね」

「チャットワークも利用社数9万社超え、204か国と地域にまで広がってきていますよね。
このビジネス拡大の流れの中で”従業員の働きやすさ”を本気で重視して、年に3回の10連休をはじめとした制度を取り入れて、実際に運用し続けてきています。
創業期に沢山の社員が辞めてしまう、というエピソードがあったからこそ、というお話は山本さんの著書「日本でいちばん社員満足度が高い会社の非常識な働き方」にも書かれていますが、逆に社員が辞めてしまう経験をしている社長は沢山いると思うのです。
その中で”従業員の働きやす
さ”にそこまで拘れるのは、なぜなのでしょうか」

山本さん「そうですね。一つの基準としては、私が新卒で就職活動をしたときに、ここに入りたいと思える会社がなかったんですよね。なので、自分で会社を創ったときには、自分が入りたい!と思うような会社を創ろうという想いがありました。私はわがままなので(笑)ちゃんと評価もしてほしい、給料もあげてほしい、でも短く働きたいし、出産のときは立ち合いたいし・・・といった自分の基準で、制度を考えたというのが、一番大きいです」

山口さん「そもそもサラリーマンの経験がないし、一方で外からはいろいろサラリーマンの悲哀みたいなことも聞く中で、自分で創った会社だからある意味”理想形”を創りたいじゃないですか。そこを諦めたくなかった。」

山本さん「諦めが悪い方なんですよね(笑)勝つまで絶対にやめない。ChatWorkは創業して15年、もちろん売り上げの増減はありましたが、ずっと成長してきています。成長し続けたいというのが根本にあるんです。当たり前のことですが」

山口さん「ChatWorkの共通理念としてあるのは、”無理をしない”。無理は無理しか生まない。そのツケをどこかで払わないといけない日が来るんですよね。長いこと会社は続けていきたいし、長いこと社会に貢献したいと思ったときに、”頑張る”だけだと続かない。

無理をして、うまくいっている事例を見たことがないんですよね。頑張らなくてもうまくいく、成果を上げれる仕組みを作るのが非常に大事で、それがIT化だったり仕組み化だったりするんだと思います」

山本さん「よくたとえるのが、岩を運ぶ仕事の話です。沢山岩を運ぶことが売り上げにつながる、というビジネスがあったときに、多くの経営者は”さぁ運ぼう!”となり、このペースだったら売り上げがいくらで、という考え方をする。

私が考えるのは、まずどうやったら沢山の岩を無理なく運べるか、なんですね。そのためには線路をつくろう、そのあとに電車を作ろう、といったように、仕組みから整えようと考えます。その間は利益はでなくてもいい。いざ沢山の岩を運べる準備が合理的に整ったときに、”さぁ一気にやろう!”とアクセル踏めればいいんです。気合いや根性で、初めからやろうとは絶対にしません」

山口さん「理念と仕組みの両輪を、バランスよくもつ、ということが大事だと思っています。理念って基本精神論だと思うんですね。理念があるから気合いと根性でやろう、となっても続かない。仕組みがちゃんとないと、理念があっても勝てない。
理念なく仕組みだけがあっても、違った方向にいってしまう。

”働きがい=理念”と”働きやすさ=仕組み”の両方がないとダメだということだと思っています。CREDO(理念)が流行ってますが、CREDOだけではダメで、CLOUD(クラウド)も必要だよね、ということだと思います」

「ChatWorkに入社した方々が、自分の日々の仕事が会社の目指す理念につながっていると感じることが大事ですよね。モチベーションを維持させるために、何か工夫はしていらっしゃるのでしょうか」

山本さん「もともとの弊社のスタンスがPUSH型ではなくて、PULL型なんですね。営業も元々いないし、商品もいいなと思ってもらったら問い合わせが来るような仕組みにしています。それは社員に対しても同じ考え方で、”理念はこうだから、これをやりなさい”といったPUSH型ではなくて、気がついたらやりたくなっているような、そしてやっていることが理念につながっているような仕組みになっています。

例えば、”チャットワーク導入!すごく使いやすい!”と誰かがTwitterでつぶやけば、ChatWorkというキーワードを拾って、それが全て社員が見ているChatで流れるようになっている。自分がやっていることが自然に目に入ってくるような仕組みなので、価値実感をしやすいと思います」

「そういった部分でも、理念と実践していることが本当に一貫していますね」

山口さん「働き方を変えにいっている急先鋒に自分たちがいると思っていますし、それを内外問わずに言ってきています。そういう意味では、理念と事業が1ミリもぶれていない、ということが一番のChatWorkの強みなのかもしれないですね。

なので、お客さんやパートナーさんでも、本当にいいことをやっているから、本気で応援してくれる人、背中を押してくれる人がとても多いんです。ヒューマンシップさんもその中の一人ですよね」

「最後にChatWorkの事業の話になりますが、最終的にこのチャットワークの普及はどれくらいの規模で考えられていて、その結果世の中の働き方はどのようになっていると想定されているんでしょうか」

山本さん「創った時からの目標はFacebookやSkype、Linkedin、Twitterなどワールドクラスのユーザー基盤を持つサービスになることです。シリコンバレーで戦うにはそのくらいのユーザーを抱えるサービスになるべきだと思っています。

まだまだ改善したい点は沢山あるものの、チャットワークには働き方の思想が沢山つまっているので、広がれば広がるほど、使っている人、使っていない人では大きく働き方の格差がでるのではないかなと思っています。

今、チャットワークの他に新しいツールも考えています。実はチャットを仕事に導入するだけではなく、ITを使って働き方を大きく変えられるアイディアは、10年くらい前に確立できているんです。」

山口さん「チャットワークはコミュニケーションのプラットフォームだと思っているので、将来的にはもっといろいろなものを流通させられると思っているんですね。ヒトのマッチングもできると思いますし、情報だけでなく、お金も流通させられるかもしれない。

そうなってくると益々働き方が変わってくると思います。それが日本でも1000万ユーザーとかいけば、中小企業が全部入るような規模になってくるので、その先には様々な人が働く場所、境遇関係なく、メッシュ状にチャットワーク上でつながっていくような世界も出てくると思います」

「働き方における想定外の革命が起こってきそうですね」

山本さん「実は今はまだ、実現したいことの3分の1なんですね。チャットワークの他にまだ2つ考えていることがあるんです。この3つをしっかりとサービスとして実現できれば、まず日本に普及していくと思います。

世界的に見ても長時間労働といわれるストレスフルな日本において、劇的に働き方や考え方が変わる、それは日本を救えるんじゃないかと思ってるんですね。 2つ目、3つ目のサービスは今はまだお伝えできないのですが、やろうとしているこのサービスはチャットワークと同じように、明確にこうするべき、というのがもう見えていて、世界で探してもまだどこにもないサービスです。

チャットワークも開発当時は競合らしい競合はありませんでした。誰もやっていない、というものしかやりたくないんですよね。笑
誰もやっていないからこそ、面白いしそこに存在意義を感じる。だから常に、サービスも市場もゼロから創り続けないといけないので大変なのですが、そこにやりがいや面白みを感じています」

「本当にワクワクするタイミングですね。我々ヒューマンシップも今後のChatWorkさんの成長に一層寄与していきたいと強く思いました。山本さん、山口さん、本日はありがとうございました。」

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