企業インタビュー企画 vol.3 株式会社トモノカイ 代表取締役社長徳岡さん

2016/07/01

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「トモノカイ」は東大の家庭教師サークルが起源ですね。なぜ大学のサークルから
「トモノカイ」という会社の起業にいたったのか、その経緯を教えてください。

徳岡さん
「はい、もともとは東大で家庭教師サークルを有志でやっていました。
転機になったのはちょうど2000年ごろ、ITバブルの頃だったこともあり、いろんな方々がお金でサークルを買いたいといってきたり、
仲間がお金で引き抜かれていったり、ということがあり”そもそも自分がやりたいこと、実現したいことはなんだろう”と改めて考えたのが
一つの大きなきっかけです。」

「さらに昔にさかのぼると、自分が小学校低学年だったとき、”頭が悪くて運動ができなくて体が弱かった”んですね(笑)
どれくらい頭が悪かったかというと、クラスで一番下以上に悪く、留年したほうがいいんじゃないか、といわれていたほど。
運動も、集団競技には一切出せてもらえないくらいできず、病弱で週に一回は学校をやすんで病院にいっていた。
毎日なにも面白くなかった時期でした。
そんなとき、とあるきっかけで科学の本を読んでいて、「こんな面白い世界があるのか!」ということを知り、そこからさらに政治経済の本を
読んで知らないことを知り・・・としていくうちに、知らないことを知るという面白さ、自分のまだ見ぬ可能性をなんとなく、感じ始めました。

自分が悩んでいる世界というのは実は小さいんじゃないか、ということに気付いたんですね。

自分の好きなことをやって知らぬうちに学んでいるので、そのうちテストの勉強をしなくてもテストの点数がとれ、そうすると性格も明るくなってきて、人気者にもなってきて、あぁ学ぶとはこういうことなんだな、ということを実感し始めたという原体験があります。
学校で決められた枠にあてはめられて学ぶというよりも、自分の可能性を自分で切り開いていき、自分を豊かにすることが学ぶということだとこのときに気付いたんです。」

その原体験は起業のベースとして、大きな影響がありそうですね。そこからは、順調に学ぶことを続けて東大に入られたということですよね。

徳岡さん「そうですね。高校の時点ではすでに誰にも負けないようになっていました。
そうして学ぶことを続けて、東大にいざ入ってみると、家庭教師先の生徒たちがあまりにも学ぶことへの希望がなかったり、東大生も受験というノルマをこなしてきたという感じが強く、これは何なんだろう、と再び思い始めました。
学びたくないなら学ばなくていいし、学歴じゃ世の中は決まらないし、自分自身が豊かになることと学ぶということをきれいごとじゃなく合致できたらすごく面白い世の中になるのにな、と。
そういう自分が感じてきた原体験、そして理想と、目の前の家庭教師サークルが崩されそうになっている現実をみたとき、資本主義経済の中において、ある程度お金がまわっていくことを考えたとき、これは会社をつくっていくしかないな、と思ったんですね。
若気のいたりということもありましたけどね(笑)」

東大生のときに会社を立ち上げたということですね。今だったらテレビで取り上げられそうですよね(笑)

徳岡さん「19歳のときでしたね。右も左もわからない若造でしたが(笑)」

徳岡社長が家庭教師サークルに入ったとき、そのサークルは徳岡社長が今持っているような「教育に対する理想」みたいなものは
あったんですか?

徳岡さん
「まったくなかったですね。ただ、当時は家庭教師でも悪質な業者が多い時代でもあり、まっとうなことをちゃんとしていこうという組織ではありました。」

なるほど。そうして起業に踏み切ったわけですが、起業当時、一番実現したいなと思っていたことは何だったんでしょうか。

徳岡さん
「うーーーん。すごく高い理想と現実のギャップをどうやってクリアしていくか、に精一杯だったのが
正直なところですね。
ただ高い理想にむかっていくときに、何かにおいては一番にならないといけない、世の中から知られたり、それを形にしていかないと、
どうにもならないだろうな、ということだけはイメージしていました。
若くて起業したてだと、いろいろ手を広げてやりたくなっちゃうんですが、私の場合は絞りに絞っていこうとしました。
当時は早稲田生や慶応生なんかも家庭教師にいたのですが、自分は絞って”東大生だけ”にこだわりましたし、”家庭教師”という事業領域にこだわりましたね。周りからはなぜそんなに絞るのか、と反対も沢山されましたが、”この領域で磨き切る”と決めて、曲げませんでした。

選択と集中ですね。ちなみに、周りがどんどん大手企業などに就職していく中で、普通に就職したいとは思わなかったんですか?

徳岡さん
「当時の売上が1期目の4000万までいき、2期目9000万~1億、3期で1億7000万までもっていったんですね。
社員も雇っていたので人の人生を預かっていたので普通に就職、という選択肢はあまり考えなかったですね。
大企業に行ったほうがスキルがつくのではと思ったこともありましたし、悩まなかったわけではないですが、まずは決めたことを磨ききっていこうと思っていました。」

創業期から成長期にはいっていく中で、改めてどんなことを考えて「次のトモノカイ像」を描いたんでしょうか

徳岡さん
「大きな考え方は設立時も今も変わっていないです。”教育の世界を変えていく”と思ったときに、教育の要素は何かというと、
”人×内容×場”でしかないと思っていて。
家庭教師の事業というのは突き抜けた人=教師がいて、家という場で提供すればその人の人生は結構な確率でいい方向にかわると
思ってやっていました。
ただ、人依存であり、確率依存になってしまう部分があり、かつ提供できる人はどうしても所得の高い方、人口の約3%となってしまうので、
これをもっとたくさんの人に提供するためにはどうするか、コンテンツはどうしていくか、ということを考えていった時期でもありました。
そもそもの事業が大学生というところから始まり、大学生からの支持を得ていたので、大学生の成長のために
家庭教師という領域から塾の講師という範囲に広げていった時期でしたね。」

教育という言葉自体、抽象的でいろんな解釈があると思いますが、事業として家庭教師から塾の講師という広がりの中で、その中で「どういう教育が普及するべきなのか」ということをずっと考えてこられたと思っています。徳岡社長として考えてこられた、教育の理想の話をちょっと聞かせてください

徳岡さん
「”世の中に役立つ価値”と”学ぶこと”、このふたつが紐づいた状態でいたい、これがベースにあります。
学んだのに役に立たない、とか誰にも貢献できない、と思いながら学ぶというのはあまりにも残念だな、と思いますよね。
世の中に対する価値づくりと教育がつながった状態でいたいなというのが一番にあります。
あとは、主役は人。人は人にしか憧れないし、人からしか影響を受けないものだと思っていて、その要素をもっと教育の現場に作っていけたら、と思っている。大きくはこの二つです。
その先に人の個性、特徴、好奇心があり、これをうまく絡めながら学ぶ仕組みを作れたら面白いだろうなと思っています。
これは事業をやりながら、悩みながら考えてきたことですかね。」

実際に今まで事業をやられてきて、支援してきた大学生がもう大人になっていたりしますよね。一生懸命学んだのに、やっぱりうまくそれが生きてない、という場面をたくさん見てきた、など徳岡社長の原点になっていることはどんなことなのでしょうか。

徳岡さん
「一番大きいのは”なんのために学ぶのか”という質問を子供から受けたときに、戸惑ってしまう大人が多いということでしょうか。
”自分のためだよ””将来のためだよ”までは説明できるものの、それが何につながっていくのか、まで説明できる人が少ない。
子供たちは大人より感度が高いので、”それって意味あるの?”と感じたり気付いたりするもので、そういう場面を見ていて、あぁ、つながっていないんだなと実感することが多かったです。」

なるほど。そういう本質的な投げかけがされる場面をたくさん見てきていらっしゃるんですね。
今、事業が広がってきている中で今後一番何を実現していきたいですか。

徳岡さん
「抽象的な話をすれば、私を抜きにしても教育に対しての課題感などがみんなのディスカッションをもとに出てきて、事業が起きていくような状態ですかね。そういう起業風土ができていたら最高ですね。
たくさん課題がでてきたときに、そこに対して課題解決をし収益として世の中に価値を返していけるような状態です。
もう少し現実的な話で今何を事業として踏み込んでいきたいか、何に投資していきたいと思っているかで行くと、大きくは”公教育とコンテンツの拡充”です。
”学校”という公教育の場は、起業した16年前でいくと限りなく閉鎖的で、民間の知恵など入る余地がなかったと思いますが、今は時代が変わってきていますよね。そこに踏み込んでいけると思っています。
あとは教育のコンテンツも広げていきたい。
世の中の価値と科目を紐づけられるような仕組みをつくっていきたいと思っています。今も惜しいものがたくさんあって、例えばキャリア教育の教材などもいいと思うのですが、例えば過去の職種を紹介するだけのようなコンテンツは本質的ではないなと感じるんですね。

”ケーキ屋さんってこんな仕事”ではなくて”ケーキ屋さんの価値の源泉は何か”ということまで考え抜いたり、それをどう自分の
ポテンシャルややりたいことなどとつなげたり、どう世の中に役立てていくかとつなげていかないと、意味がないと思うんです。
お金を稼ぐ楽しさとか人に喜んでもらう楽しさって、小中高で一度も経験しないんですよね。
不思議なことですよね。
もっと世の中の仕組みや価値の源泉みたいなことと、学ぶコンテンツや自分のやりたいことをつなげていけたら面白いと思っているんです。」

本当にそうですね。今度は少し事業の話から離れて、その事業を支える従業員に対してトモノカイとして大事にしていることを教えてください

徳岡さん
「”全員経営”という言葉にこだわっています。
全員が経営者的な視点で物事を考えよう、社長に指示を仰ぐのではなく、一人ひとりが
商人として足し算引き算、掛け算割り算をしながら自分で考え事業を進めていくという考え方です。

ではどうやって全員経営をしていくのか、そのための評価軸が必要ですよね。
”事業を創れる、チームを動かせる、自分の強みをもっている”この3拍子を全員経営において大事な軸としておいています。
この大きな軸の下にそのベースとなる「仕組みが作れる」「物事がしっかり考えられる」「PDCAが回せる」などの項目を置いていて、それぞれの評価をあげていけば”全員経営”につながっていくという評価制度をつくっています。
みんなが”理想実現研修”という、自分がなりたい姿と今の自分のGAPを埋めるための
場を定期的に用意していて、3か月に一回、上司・メンター・同期それぞれからのフィードバックを受けながら時系列にそのGAPを埋めていくような場をつくっています。

あと、少し面白い研修でいくと、実際に事業を動かせる人と動かしたいと思っている人には差があって、大きなの差を埋める、”地獄の研修”というものの用意もしています。
経営の明徴を読んで、自分たちの状況をあてはめて、何を得られたかとう示唆をまとめる、また自分たちの経営にあてはめたときに、何が必要か、何ができるかを考えて、手段を発表するというシンプルなものです。これだけだと少し頭でっかちな研修になってしまうので、「事実」と「お客さんの声」を必ず集めるというエッセンスを加えています。
月に一回終日、一年間続く研修で、”事業を創っていきたい”と思う人が手上げで参加表明をし選考をした後に選抜されるような形をとっています。

面白いですね。こういった研修だけではなく、普段からメンバーと面談もよくおこなっていると聞きました。どんな内容で面談をされているのでしょうか。

徳岡さん
「メンターといって、上司以外にナナメの関係で話をする役割を設けていて、月に一回時間を設けています。
メンターの面談の役割としては、”理想実現研修”などをしながら何か困っていることはないか、二つ目が今の事業を行っているうえで課題感とか、力をかしてほしいことはないか、三つめは部門長や上司が直接言っても説得力がないことを、第三者として伝えていくということです。」

しっかりとした仕組みですね。かなりパワーがかかりますよね。

徳岡さん
「そうですね、パワーはかかります(笑)
でもやると決めて、もう5年ほど運用してきていますね。」

事業として目指していること、そして社員全員に対し求めていきたいと思っていること、とてもよくわかりました。
ありがとうございます。
最後に、改めて徳岡社長の教育に対する思いをお願いします。

徳岡さん
「そうですね、例えばアメリカのP&GやGEが”世界の人材育成企業”と言われたりするじゃないですか。
なのに、教育事業者がなぜそういわれないのか??それが悔しくて仕方ないんですよね。
その時点で学校の教育と社会がかい離していると思っていて。
だからこそ、だれもできないのであればトモノカイでやってやろう、何年かかってもやり遂げたい、そんな思いがありますね。」

徳岡社長、そしてトモノカイであれば必ずその理想を実現していただけると思っています!
本日は貴重なお話をありがとうございました。

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